足立ブランド

認定企業インタビュー

鳥海工業(株)

風力と太陽光で発電するシステムや画期的なLEDランプの開発・製造を手掛ける鳥海工業(株)。COP3(1997年に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議)以降、「環境」を中心的なテーマとして製品開発を行ってきましたが、近年は「防犯」や「癒やし」に関連する製品を手掛け、成果を上げつつあります。小松社長にお話を伺いました。

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▶社長の経歴と御社の沿革について教えてください
鳥海工業(株)インタビューの様子1

鳥海工業(株) 小松 健 社長

秋田県立工業高校を卒業と同時に、いすゞ自動車(株)に入社した。設計部に配属され、自動車のデザイン以外全般の設計に携わりました。仕事は楽しかったのですが、しばらくして自らの人生設計と職場環境にズレがあることに気づきました。相談した上司にも慰留されたりしたのですが、種々悩み続けた末、やはり自分の将来展望が強く、4年間で退職することになりました。 

▶自動車設計技術者からどのような経緯で現在の会社を始められたのですか?
鳥海工業(株)インタビューの様子2

つくばエクスプレス 六町駅前に設置された「ダリウス形風光ハイブリッド時計塔」。風力と太陽光で発電し、バッテリーに充電する。2001年度にグッドデザイン賞を受賞

いすゞ自動車(株)退社後、2〜3の機械・電気器具設計事務所で働きながら、自分の会社を立ち上げることを準備していた。ある照明器具メーカーが倒産して電材屋さんが困っていると聞き、「それなら私にやらせてくれ」と頼み込み、最初は個人で町工場を立ち上げ、1976年には法人化した。2〜3年前まで売上げはずっと右肩上がりで、いっときはパートも含めて従業員が30人もいたこともありました。

▶太陽光や風力など自然エネルギーでの発電やLEDランプの開発など、地球環境保全を意識した製品づくりに取り組むようになったきっかけは?

1997年に京都で開催されたCOP3、いわゆる京都会議で「京都議定書」が採択されて以来、地球温暖化問題は、地球上全ての生物のために人類が長期的に取り組むべき課題となった。企業は社会貢献のために存在するべきものと再認識させられたわけです。                      
利益追求のためだけにCO2を無防備に排出している現状には疑問を感じざるを得ない。しかもCO2を一番排出しているのは電気製品の消費電力です。 化石燃料の発電所で1Kw発電するには420g~600gのCO2を排出するといわれている。これをなんとかしたいと考えました。

▶そこで再生可能エネルギー関連製品の開発に着手するわけですね

 

まずは、自然エネルギーで発電することに取り組んだのが、「風光ハイブリッド発電装置」。六町駅前や区内の東栗原小学校など10か所、合計30か所。東京ビッグサイト正面入口(現在は撤去済)などに設置された実績があります。
風光ハイブリッド発電装置の開発から5〜6年経って、発電だけでなく電力の消費量でも環境に配慮しなければいけない、という目的で開発したのが「ECOLUX(エコルックス)」。従来の蛍光灯と「発光原理」が違う、電球形、直管形、円形のLEDランプを製作した。
2008年12月、テレビ放映「ガイアの夜明け」で紹介された後、ある大手企業に商標と技術ともに盗用され販売されて、クレームの苦情だけが弊社に来るという大変なこともありましたが、「良い商品だからこそ真似られる」という言葉を噛み締めて我慢しておりました。

 

同社のヒット製品、「ECOLUX(エコルックス)」。商標登録済。グロー方式、ラビットスタータ方式、インバータ方式の既設蛍光灯器具に電源直結にして取り付け可能。大型ビルなど大量の蛍光灯を使用する施設がLEDランプに変更する際、ECOLUXを使用すれば蛍光灯ランプに比べ消費電力が大幅に減少し、CO2の削減もできる

 

▶防犯灯の開発も行っているそうですね

 

「首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス」が2005年8月24日に開業する直前に、警視庁綾瀬警察署から「新駅ができるとその周辺で犯罪が数倍増加するのが過去の事例だ、何とか防犯対策に協力してもらいたい」と要請がありました。
当時、自治会長だった立場上危機感を感じて、いろいろ調査したところ、24年前に、英国で街灯を青色に替えたら、犯罪が1万件減ったという記事があった。また、日本では奈良で青色街路灯のおかげで犯罪率が38%減ったという事例も報じられた。興味を持って色彩の専門学者を探したら、奈良女子大学の女性教授に行き当たり、とり急ぎ奈良まで飛んで行き、1日がかりでいろいろなことをご教示いただいた。そこで得た知見で「LED青色防犯灯」を開発した。
六町三丁目町会で、空き巣などが頻発して困っていたので、2007年に町内に29基設置したところ、犯罪発生件数が大きく減少した。現在までこの効果は持続している。こうした実績が認められ、地域の防犯活動に貢献したということで昨年の6月に警視総監賞を受賞しています。

 

「LED青色防犯灯」。設置後の犯罪件数激減効果について、世界各地や国内の至るところで実績が挙がっている

 

 

警視総監賞のメダル。ものづくりと防犯活動による社会貢献が認められた、この上ない証といえる

 

 

▶警視総監賞受賞は本当に大変な実績だと思います。ところで、社内に「環境」「防犯」「癒やし」という文字が掲げられていますが、現在は「癒やし」に関連する事業も行っているんですか?

 

10数年前に、1/fのゆらぎ効果(※)に関心があり、太陽光で1分間に18回転、ブレードは54回転する風車の置物を作ったところ、アメリカでは面白いものにすぐに関心を持つ国民性があると見え大ヒットした。
日本でも特に若い女性たちに使ってもらおうと「MYKONOS(ミコノス)」という名前を付け販売したが、「風車なんだからもっと早く回ってくれたほうが良いな・・」など的外れなことを言う人もいて、癒やしの効果についてはあまり理解してもらえないという「もどかしい思い」をしました。
そこで今度は、LEDランプを利用した「ゆらぎの行灯(あんどん)」を開発した。光の三原色(赤、緑、青)が1/fのタイミングでランダムに変化することで、「癒やし」効果を発揮することが出来ます。
パーソナルから業務用まで使用範囲の広いアイデア商品として今後、ご愛用いただけることを期待したいですね。

※1/fのゆらぎ効果:規則的な中にも不規則が混在している「ゆらぎ」を「1/fゆらぎ」という。人の拍間隔や小川のせせらぎ音、木漏れ日など自然現象にも数多く見られ、人の生体リズムと共鳴し、快適性やリラックス効果、集中力向上などの効果を生むものとされている。

 

ソーラーミニ風車「MYKONOS(ミコノス)」。風力発電の風車の1/250スケールで模し、太陽光発電で1分間18回転、ブレードは54回転するインテリアアイテム。無光状態でも補助電源で動作し、1/fのゆらぎが風車・ブレードの回転で表現されている

 

 

「ゆらぎの行灯(あんどん)」。光の3原色(赤・緑・青)のLEDランプが灯す光が、1/fのタイミングで光を変化する。見るものに癒やしや安らぎを与える効果がある

 

 

 

▶今後どのような形で事業を進めていきたいとお考えでしょうか

 

 

製造事業者として、いい製品を開発し販売していくことはもちろん、事業を通して地球環境保全の重要性をもっと訴えていきたい。
2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発目標」いわゆる「SDGs」は、途上国、先進国の別なく実現を追求していくべき人類社会全体の目指す姿を示したものです。国や自治体、大手企業ばかりでなくわれわれ中小企業も真剣に取り組まなければならないと思う。企業は、社員やその家族などの生活を守るために利益を上げることは大事ですが、その前提として今は地球環境を守るために行動することがもっと差し迫った課題となっている、という事を痛感しています。規模の大小を問わず、企業としてそれぞれがしっかり実行していくべき課題だということを強く訴えていきたいですね。

 

 

 

鳥海工業(株)代表取締役社長 小松健 氏

 

 

 

1942年、芭蕉が奥の細道で訪れた最北の地、象潟(きさかた)として名高い、秋田県にかほ市で生まれ、日本百名山の一つ鳥海山を毎日見て育つ。社名の「鳥海」は、鳥海山大物忌神社より正式な許可を得て使用。工業高校卒業と同時にいすゞ自動車(株)に入社し、設計技術者として4年間勤務の後退社。数社の機械・電気器具設計事務所勤務を経て、1967年に独立。
ふるさとの更なる発展と誇りを心に抱き続け、2008年より「にかほ市ふるさと宣伝大使」に就任。
また、環境社会検定試験(eco検定)合格・准カーボンカウンセラー修了・あだち環境マイスター認定・環境再生医認定など各種の環境関連認定等を取得。地球環境保全に関する執着は真剣かつ真面目であり、その言葉は聞く者の心に沁み込み、同感せざるを得ない情熱的な強さを持つ。
※「ECOLUX(エコルックス)」はこちらの同社オンライショップで購入可能です。

 

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2020年03月31日更新