偏光板アートの生みの親であり、大型万華鏡等様々な作品を手掛ける(有)プリントアート島崎社長にお話しを伺いました。

– 貴社について、会社の成り立ちも含めて教えてください

有限会社プリントアート 社長 島崎勝信 氏

プリントアートは、こんなものが世の中にあったら楽しいだろうな、便利になるだろうな、そういった「楽しいアイデア」を形にする会社です。
弊社はもともと、グラフィックデザインを手がける会社としてスタートしました。しかし、多数の作品を世に送り出す中、それがどんなに良い作品でも、紙媒体は最後には捨てられてしまうという現実に、虚しさを覚えるようになりました。そんなモヤモヤを抱えていたある日「立体物であれば捨てられること無く、世の中に残るのではないか?」と思いたちました。

そこからクラフト作品や偏光板アート、セラピー効果に着目した万華鏡などを制作するようになり、今日に至ります。また、歯科医院等の内装などもやらせて頂いてます。業種を挙げるのであれば、ディスプレイ業になりますかね。

– 印象的なロゴマークですが、どういった想いがこめられているのでしょうか?

オウムをモチーフにした同社ロゴマーク

プリントアートのロゴマークは「くちばしを縛ったオウム」をモチーフにしています。オウムはヒトマネを得意とする鳥。そのくちばしを縛るということは、すなわち「ヒトマネをしない」という私の信念を表現しています。

– 偏光板アートの生みの親と伺っています。偏光板アートはどのようにして生まれたのですか?

そうです。私が偏光板アートを最初に始めました。30年近く前の話になりますが、「電気の点滅で鏡の中に鳥が飛ぶ」というオブジェを作る機会がありました。その頃、たまたま偏光板メーカーの方と知り合い、偏光板の特性について教えてもらいました。これが偏光板との出会いです。

偏光板アート作品群が並ぶ工房

当時その人が教えてくれた偏光板の特性は「偏光板を2枚重ねてクロスすると黒くなって光を透さない」というもの。この特性なら電気の点滅でなくても鳥の羽ばたきを表現できるぞ、と制作を進めてみたのですが、偏光板をいじっていると「色」が現れました。色なんて出るはず無いのに。

メーカーに問い合わせてみると「いやいや、そんなはずはない」との回答。すぐにご担当者が工房へいらっしゃいました。その時、偏光板と偏光板の間にポリカーボネート等の光が曲折する透明な素材を挟むと、色が出ることが判明。この発見がきっかけで偏光板アートを作るようになりました。

偏光板と偏光板の間に透明なポリカーボネート素材を挟み、裏から光を当てると鮮やかな色が

1997年には偏光板アート(汎用ディスプレイとして)の特許を取得しています。しかし「色が出る」という偏光板のおもしろい表現特性が世の中に広まったら良いなと思い、後に権利は放棄しました。最近では偏光板を用いたオブジェ制作をしたいと美大生の方々にお越しいただくこともあり、嬉しく思います。

– 日本万華鏡セラピー研究会の理事長も務めている島崎さんですが、大型万華鏡制作のきっかけや、その思いについてお聞かせください。

いまでこそ大小様々な万華鏡を制作し貸出等も行っていますが、大型万華鏡を作るようになったきっかけは、20年ちょっと前に開催した個展です。その個展の準備をしている時「大きな万華鏡を作ったらお客さん、楽しんでくれるかな」と思い、大型万華鏡を制作しました。これが始まりです。

高さ調整可能な、偏光板を用いた可変型大型万華鏡/提供(有)プリントアート

そして個展当日、大型万華鏡はたくさんの方に見ていただけました。そうした中で、「私が望んでいたものはこれ!」と声を上げて喜ばれているご婦人がいました。

何かと思って話を聞いてみると「私は緑内障なの。もう少ししたら失明してしまうの。だから今のうちに綺麗なものをたくさん見ておきたい。片眼で見る通常の万華鏡はもう見ることはできないが、これなら見られます!」と。涙を流しながら握手を求められました。

大型万華鏡を通じこうした出会いが重なる中、「万華鏡ってなんなのだろう。」と思うようになりました。万華鏡はどうしてこんなにも人の心を動かすものなのか、と。

覗き込むと目の前一杯に広がる幻想的な空間(大型万華鏡内部)

そんな時、ある医学博士に出会いました。博士との出会いが、現在の私の万華鏡に関する活動に繋がります。博士は言いました。「人間は感動したときに脳が活性化する。感動をもたらすツールとして万華鏡は最高である。」と。この言葉に衝撃を覚えた私は、万華鏡がもたらす「感動」についての研究を始めました。

調べてみると、万華鏡は脳に良いとか癒し効果があるとか、そんなことが様々な本に書いてあるのですが、具体的なデータはどこにも載っていなかった。万華鏡が「本当に」脳に良いのか、気になった私は東京電機大学のご協力のもと、「万華鏡を覗いた際の脳の動き」を検証しました。結果として万華鏡はストレスや、うつの軽減効果、癒し効果等があるとの結果が出ました。この結果の後押しもあり、私はより積極的に万華鏡を広めていこうと思いました。

その後、NPO法人日本万華鏡セラピー研究会が立ち上がることとなり私は理事長に就任。NPOでは老人ホームに伺っての万華鏡アート展示や、講演等の活動をしています。こうした活動をしていると、たくさんの「感動の瞬間」に接する機会が多く、結果として、新しい感動を生み出せるようなアイテムが生まれてきます。いつも、感謝の気持ちでいっぱいです。

自画像「32歳の俺」を背に

– 最後に、島崎さんの今後の展望についてお聞かせください。

ハッキリした「展望」というのは特にありません。あえて言えば「今あることを全力で、そして楽しく取り組む」ということに尽きます。今を一生懸命生きたらどうなるのか、私はいつもそれを楽しみに生きています。どんな人に会えるかな、どんなアイデアが思い浮かぶのかな、とかね。今後も、皆さんの心に感動を呼び起こせるようなアートの制作、活動を続けていけたらと思います。

Photo

有限会社プリントアート 社長 島崎勝信 氏

1943年生まれ。デザイン系専門学校を卒業後、フリーランスとして活動。1968年にグラフィックデザインの会社(有)アイデアプロを設立。1985年に社名変更をし、現在のプリントアートとなる。1995年に東京都発明展において東京都知事賞を受賞。1997年に偏光板アート(汎用ディスプレイとして)特許取得後、権利放棄。2004年国際万華鏡協会展において最優秀賞を受賞。2013年に設立されたNPO法人日本万華鏡セラピー研究会の理事長を務める。平成20年度足立ブランド認定。

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