2024.05.10

ザオー工業株式会社のプレスリリースを配信しました

顧客企業の環境保全支援、SDGsのために怪獣を作る。金型+プレス+印刷のユニークな一貫工場、ザオー工業株式会社が生み出した新たな端材・廃材活用の取り組み。

(本記事は「足立ブランド」としてPR TIMESに掲載したプレスリリースの転載になります)

■顧客のニーズを突き詰めて生まれた、精密部品の一貫工場

東京都足立区関原。足立区役所の最寄り駅としても知られる東武スカイツリーライン「梅島」駅から旧日光街道を南へ進んで細い路地へと入った住宅街の一角に、突如としてその工場は現れる。「金型製作・プレス加工・シルク印刷」の一貫生産を請け負う都内でも数少ないワンストップ型のサプライヤー、ザオー工業だ。

ピンと来ない方のために、上記の一貫生産についてもう少し掘り下げてみよう。

BtoBの世界では弱電業界などと呼ばれることが多いが、私たちが普段利用している家庭用の電気製品や通信機器、自動車などには様々な精密部品が使われている。部品の大半は、下画像のような、薄い金属の板に力を加えて、何らかの形に変形させたものだ。

こうした部品を完成させ、量産するためには、通常「金型工場で金型を作り」、「プレス工場でプレス加工を施し」、最後に「印刷工場で品番などを印刷」して、さらに検品担当者が入念なチェックを行うことになる。

部品が渡り歩く工場の数だけ、送料も掛かれば納期も掛かる。各工程で不良品や端材も出る。仮に市場に出荷した製品でその部品に不具合があった場合、製造工程に関わった全社に不具合について照会する必要が生じる。

それでは、金型を作った同じ敷地内でプレス加工が出来て、さらにその横で品番や商品名の印刷まで出来るとしたら、どうだろうか。すべて一社に委ねることでコスト削減や納期短縮の効果が見込めることは、想像に難くない。通常複数の工場を経て完成する工程・製品がザオー工業一社で完成する。そんなワンストップ型の工場として、業界内で確固たる地位を築いている。

もちろん、製品によっては上記以外の工程が必要不可欠なものもあり、顧客が持ち込む案件の中には「5つの工程のうち、3つまではザオー工業で可能だが、他は協力工場に持ち込む必要がある」といった製品も存在する。

しかし、こうしたケースでも顧客であるメーカーが5工程に対応する5社を自力で手配してスケジュールを組むよりも、「3工程を担うザオー工業に残り2工程の協力先手配を依頼する」ほうが双方メリットが大きいため、必定ザオー工業が製造工程における中核工場の役割を担うこととなる。

こんな素材は使えないのか、既存の工程を見直してコスト削減や納期短縮は出来ないのか。このような仕様は製品化可能か、製品の仕様をこの形に変更すると後工程にどのような影響が出るのか。

ザオー工業には日々、メーカーの調達部門や設計部門からの相談が後を絶たないという。

■ 印刷を行うプレス工場が生まれた理由と新たに狙う顧客ファーストの取り組み

顧客にとって一貫工場にメリットがあることは疑う余地も無いが、通常金属加工を得意とする工場で「印刷も手掛ける」という企業は他に無い。この業態は一体どこから生まれてきたのか。

実は、ザオー工業は元々銘板と呼ばれるネームプレートを製作していた企業。建築物に取り付けられた「定礎」と書かれた金属板や、電車の車両や大型の機械器具に設置された車両番号や型式を記載する金属板を見たことがある人も多いだろう。あれが銘板(ネームプレート)である。金属で作られているのは、必要な情報を簡単に消えたり破損しない方法でその物体に固定するためだ。

祖業としてまず金属や樹脂への印刷があり、そこから金型やプレス加工へと事業を展開していったことで、他に類を見ない、このユニークで顧客にとって利便性の高い一貫工場が完成したのだ。

この言うは易く行うは難い「顧客ファースト」の姿勢は、創業から60年近くを経た時代の変化の前でも貫かれている。

近年金属加工の世界でも、SDGsや3R(リデュース・リユース・リサイクル)の意識が高まり、「価格はこれまで同様或いはこれまでよりも下げながら、環境に配慮した素材や製造手法を採用する」ことを求められることも増えてきた。メーカーにとって下請け的な存在である日本のサプライヤーにとっては、1企業で実現するにはかなり厳しい目標である。

元来、一貫工場でのワンストップ製造で製品の運搬コストや検品コストが低いザオー工業は、「海外で製造した部品を国内で加工して更に国内の別工場へ輸送して仕上げる」といった製造工程に比べると、環境負荷の面で有利に立っている。顧客もザオー工業をサプライヤーとして選ぶことで、その点を謳うことができる。しかし、ザオー工業の環境配慮の取り組みはその程度で満足することは無い。

■環境保全、SDGsへの貢献のために怪獣を作る会社

これがザオー工業が取り組む、代表的なSDGsと3Rの取り組みである。
戸惑われる方のために、もう少し説明しよう。
金属プレス加工の工程では、金属を必要な形にプレスして抜き取る作業であるため、どのような製品を作っても必ず必ず「抜き取ったあと」の残りパーツ、所謂「廃材」「端材」と呼ばれる金属片が発生する。100gの金属板をプレスして50gの「製品」を抜き取れば、あとに50gの「製品を抜き取ったあとの型枠」のような廃材が出る。このケースだと素材の半分が廃材になる。
割合はさておき、これが幾ら環境保全を謳っても、金属プレス加工を用いた製品づくりにおける「当たり前」であった。廃材・端材の難しさは文字通り残された廃材が「抜き取ったあと」そのものの形状をしていることで、「端材を有効活用して商品開発に取り組みたい」と考えたとしても、非常にハードルが高いという点にあった。

「端材自体を積極的に欲しいと思う人がマーケットとして成立する数に達しない」
「端材自体がそもそも商品の素材として適していない」

この難題を「商品ではなくアートや玩具、雑貨にする」「端材のまま売る」という剛腕で乗り切ったのが、自社開発商品「ザオーブロック」だ。上画像で紹介した怪獣は「ザオーブロック」を象徴する展示品で非売品とのことだが、ボルトとナットを使って穴が空いた金属(アルミ)パーツを組み立てる「ザオーブロック」シリーズは「日本で一番面倒くさいブロック」というキャッチフレーズで、手応えのある玩具としてワークショップや通信販売でも人気を博している。

メタルバイシクル ザオーブロック ¥5,500(税込)
https://zaoh.thebase.in/items/56771631

端材のセットをボルトとナットを使って組み上げ、形を作っていく。
単純作業だが、想像力を働かせる必要があり、大きなものを作ろうとすればするほど、パーツが増えて「面倒くささ」が増す。
もちろん、シンプルな素材の組み合わせであるため、上画像はあくまで「自転車を作ることができる」パーツの量で販売されているに過ぎず、自分でカスタマイズすることで、他の形状に組み上げることもできる。

Z-001 プロペラ機 ¥9,570(税込)
https://zaoh.thebase.in/items/43630984

この大きさになってくると、もはや「玩具」と呼ぶべきか迷う難易度に感じるが、ザオー工業はこの「日本で一番面倒くさいブロック」の普及に本気だ。

地元のものづくり企業として足立区内で開催されるさまざまなワークショップやものづくりフェアなどに出展、子どもたちと触れ合いながらザオーブロックの魅力を伝えるだけでなく、コンテストや拡販の試みにも余念がない。2020年には東京都中小企業振興公社の「中小企業ニューマーケット開拓支援事業」支援対象製品として認定、2021年にはおもてなしセレクション第一期受賞、さらにASKものづくり大賞を獲得するなど、東京のものづくり企業が展開するBtoC商品としては既に知られた存在となっている。

■サプライヤーの自社商品が顧客企業のSDGsに貢献する

子どもたちに自社のものづくりを楽しんで欲しい。その思いと同時に、常に意識しているのは一貫工場化から続く「顧客ファースト」の姿勢であるという。

ザオー工業に仕事を発注すると、金属プレス加工の工程で出た端材でザオーブロックを作って販売してくれる。つまり「端材・廃材を利活用したエシカルでアップサイクルな商品を製造・販売している企業」としてザオー工業の名が知られれば知られるほど、自社に仕事を依頼してくれる顧客企業の環境保全活動にも繋がり、ひいてはその顧客企業の企業価値が高まる。

根底にあるのは、この思いである。2010年にはいち早くエコアクション21認定を取得している。

かつて「金型とプレスと印刷を一貫してご依頼いただくことで、御社のコストダウンに繋がりますよ」というサイクルをBtoBの世界で訴求して独自の地位を築いたように、「ザオーブロックを購入するだけでリサイクルに貢献して化石燃料の削減や温暖化の抑制に一役買っているのですよ」というサイクルをBtoCの世界でも認知として獲得する。

そのために、今日も巨大なザオーブロックを抱えて、全国各地を飛び回る。
2022年にはスカイツリーで開催された「大昆虫展」でカマキリとトンボのオブジェ制作を依頼され、快諾。話題を呼んだ。

通常、BtoB企業がリリースする初めてのBtoC商品・自社商品というと値付けや販売に苦労するイメージがあるが、最初に紹介した「ゴジラ」をはじめ、「ザオーブロック」として紹介されているこれらの画像の殆どが値札すら付いていない非売品である。トンボも当然非売品だ。

もちろん、怪獣や観覧車などは通販で買えると紹介した自転車やプロペラ機に比べてパーツの数も段違いで、価格を付けづらい、付けたところで一般層の購入が考えにくい商品であることは確かだ。

恐らく、「売りたい」よりも「環境保全に繋がるエシカルな商品、その象徴となるアイコンのように利用したい」「単純に人を驚かせたい」という採算度外視の姿勢が、およそ販売が現実的とは思えない圧倒的な数の端材を組み合わせたゴジラや観覧車や獅子舞のようなオブジェ型のザオーブロック開発に繋がっているのだろう。

しかし「BtoCの自社商品がある」「その名はザオーブロック」「ザオーブロックの代表作はこの怪獣」と見せられれば、販売目的で作ったものだと考えて「この怪獣のお値段は?」と聞いてしまうのもまた、当然である。

そこで笑顔で「これは非売品」と言われる。
これもまたザオーブロックが「日本で一番面倒くさいブロック」である所以と言えるのではないか。

すべては「顧客ファースト」。
そんな一貫した姿勢の一貫工場が生み出す面倒くさくてエシカルなブロックから、今後も目が離せない。

____________________________________________________________________________

企業情報
ザオー工業株式会社
https://zaoh.com/

会社名:ザオー工業株式会社
住 所:東京都足立区関原2-11-26
電話番号:03-3848-2301
代表者:鈴木 国博

____________________________________________________________________________

取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。

産業経済部産業振興課ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605

足立ブランド公式Webサイト
https://adachi-brand.jp/

ADACHI BRAND FROM TOKYO
Copyright © Adachi-city
All rights reserved.