株式会社フジシロのプレスリリースを配信しました

 

これぞ縁の下の力持ち。知られざる技術で便利な暮らしを支え、100 年企業へと成⻑する「株式会社フジシロ」。スリット加工の第一人者が新設備を導入!!

優れた製品・技術を持つ事業者を広く認定し区内外へPRする「足立ブランド」。認定企業である株式会社フジシロが、この春に新設備を導入。スリット加工の第一人者としてさらなる高みを目指します。

(本記事は「足立ブランド」としてPR TIMESに掲載したプレスリリースの転載になります)

誰もが手にする商品の裏側で、縁の下の力持ちとして活躍するスリット加工。その技術において、パイオニアのひとつが『株式会社フジシロ』(東京都足立区西新井、代表取締役藤白広樹)です。創業 75 年目を迎えようとする中で、2023 年に三代目を継承した新たな代表と共に、変革期を迎えようとしています。臨床検査技師から経営者へ。その異色の経歴を持つ藤白広樹社⻑に”もの作りの誇り”を聞きました。

工場の音とともに。「納豆屋の息子」から経営者への道のり

足立区⻄新井の住宅街。“ガチャンガチャコン”という独特の機械音が響く工場で、藤白広樹社⻑(45)は幼少期を過ごしました。家の1階が工場だった当時を、藤白社⻑は懐かしそうに振り返ります。

「子どものころ、友達から『お前んち何やってんの?』って聞かれると、自分もスリット加工をどう説明していいかわからなくて、『納豆の上に乗っているフィルムを作ってる』って答えてたんです。だから納豆屋さんだと思われてたんですよね(笑)」

<こんな感じで作っております>

工場は遊び場でもありました。落ちているフィルムで刀を作ったり、機械の周りを走り回ったり。
「今なら安全管理上あり得ませんよね」と微笑みながら当時を語ります。

しかし、成⻑するにつれて工場への見方は変わっていきました。
「町工場」というイメージに違和感を持ち始め、次第に距離を置きたいと考えるようになったのです。
「医療系の国家資格を取れば、家業を継がずに済むと思ったんです」

『フジシロ』は祖父の藤白金太郎氏が立ち上げた会社です。藤白氏が外へ目を向けていた当時は、父である二代目佳正(よしまさ)氏が、会社の基盤を堅牢にすべく、技術を高めていました。
そして臨床検査技師の資格を取得し、医療現場で5年間のキャリアを積んだ頃、予想もしなかった出来事が起こります。
「突然、父から『新しく工場を建てているから一緒にやらないか』という連絡が来たんです。しかも建てたいという『予定』ではなく、既に『建てている』という。正直、びっくりしましたね。それに経費も莫大ですからね。お金はどうしたの? 返せるの? って」

<先代の藤白佳正(よしまさ)氏。2023年合併時の旧看板前での1枚>
<こちらは合併後の新看板>

しかし、よく話を聞いてみると、父は息子の帰還を信じて工場を建てていたことが分かりました。

5年前なら腹も立てたでしょう。けれどもその時には社会人として働く中で、既に父の会社への思いや仕事への姿勢を理解できるようになっていました。

「町工場」という言葉に違和感を持っていた⻘年は、社会経験を積んで29 歳で家業に戻る決断をします。

<「おかえり」と「ただいま」が聞こえてくるような素敵なツーショット。藤白広樹社⻑(左)と父の佳正氏(右)>

誰も知らないけれど、誰もが使う技術を極める

『フジシロ』が手がける「スリット加工」とは、巨大なロール状のフィルムを必要なサイズに切断し、再び巻き直す技術です。言葉だけでは単純な工程に思えるかもしれません。しかしその技術が、私たちの身近にある商品の多様性と扱いの簡便さを支えています。

例えばスリット加工によってカットされたフィルムが何に使われているのでしょう。
それがコンビニのおにぎりや弁当の包装、ペットボトルのラベル、シャンプーの詰め替えパック、パンの袋など。コンビニやスーパーマーケットで使っていない製品を見つける方が難しいほどではないでしょうか。もちろん、納豆パックで、納豆の上に乗せられる小さなフィルムも。

<コンビニもスーパーもスリット加工フィルムの宝庫>
<こんなに近くにいたのに・・ずっと、知らなかった>

小さいものだけではありません。建築現場の案内幕や、新幹線車両基地の屋根材、新国立競技場の一部にまで、同社の技術は使われているのです。

特筆すべきは、他社が敬遠するような難しい加工にも果敢に挑戦する姿勢です。

<いつももらうレジ袋もポリエチレン>

例えば、ポリエチレンという伸縮性の高いフィルムの加工は、多くの業者が避けるといいます。ポリエチレンは私たちの身近にもあり、薄いものではレジ袋やラップなどが挙げられます。

ポリエチレンは本当に加工が難しいんです。引っ張りすぎると伸びすぎて、素材が歪んでしまうし、逆に緩すぎると巻き上げている時に崩れてしまってロール状に仕上げられなくなるんです」

ある時、お客様から『どこに頼んでも上手く加工できない』という相談を受けました。

課題は素材の特性もさることながら、幅にもありました。幅1㎝、厚さ 20ミクロン(0.02mm)のポリエチレン。これを⻑さ4000mのロール状にするというもので、直径は340mmにもなるといいます。

この課題に対して、何度も試行錯誤を重ね、最終的には機械の張力設定や条件を工夫することで解決できました。それ以来、そのお客様とは⻑いお付き合いが続いているといいます。現在、3箇所の工場に計11台のスリット加工機を保有。各機械にはそれぞれ得意分野があり、薄いフィルムが得意な機械もあれば、厚いフィルムが得意な機械もあります。それらを使い分け、時には改造も加えながら、多様なニーズに応えています。

「一般的なスリット加工機は1200mm幅が標準ですが、わが社では最大2700mm(加工有効幅2300mm)まで対応できます。小学生くらいの身⻑から大人2人分くらいまでの幅ですね。また納品先の機械の種類によっても、ロールの芯材のサイズが変わるのですが、それらに合うように特殊なコアサイズの巻き取りにも対応しています。こういった柔軟性が、うちの強みになっています」

<幅狭製品。マイクロスリッター機。細いが、分厚い!!>
<大型製品。自分まで巻き取られてしまいそうなサイズ!!>

またクリーンルームも完備しているので、前述した“納豆に乗せるフィルム”やコンビニのおにぎりといった食品へも対応できます。 これからコンビニやスーパーマーケットで、食品を見る目が変わりそうです。

<クリーンルームにて稼働している大型スリッター機>

東伸製スリッター機 20数年ぶりの機械導入!

<搬入はクレーンで行われました>

2025年3月1日にスリッター機の新台が搬入されました。

今回の機械は東京都中小企業振興公社が実施する『第5回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業』で、フジシロの事業計画テーマ【環境対応フィルムへの加工技術構築、易開封加工による販路拡大】が採択され購入が可能に。
支援対象事業決定のプレスリリースはこちら

当社としては20数年ぶりの機械導入となりますが、今までの機械と比べて加工速度は倍(200m/min→400m/min)になり、生産性向上を見込めます。

新しくスリット加工機を導入し、今まで培ってきました技術を併せて多岐にわたる環境対応フィルムへの技術構築を行ってまいります。汎用機からカスタマイズを加え、特殊コア対応・特殊ホルダーによる切断方法の選択・易開封加工(マジックカット同等の加工)なども行えるようにしています。

<ドーン!!これが噂の新台のスリッター機、東伸製LSRだ!!「速度は上がっても音は静かになっていて驚きました」藤白氏談>

100 年企業を目指す若き経営者の挑戦

2023年4月、42歳で藤白氏は正式に代表取締役に就任。すぐに着手したのが、社内改革でした。
「誰もが事業を継承したときは、より良い会社にしたいという思いがあると思います。私もそうでした」そこで問題点と課題を整理し、経営ビジョンとして掲げたのが、この2点。
①権限と責任を明確化し、全員が自発的・自律的に行動できる会社
②何でもやってみようというチャレンジ精神とチームワークを育て、会社の発展と個人の幸せの一致を目指す

「最初は数字の見方も分からなかった社員が、今では『銀行融資はいくら受けているんですか?』『中小企業で融資を受ける必要があるんですか?』といった質問をしてくれるようになりました」

そしてもうひとつが「足立ブランドの認定を取ること」。

<2020年、足立ブランド認定企業に>

「業種の認知度も低いですし、また同業他社との協会もないため、新たな気づきが得られないというジレンマがありました」

業界では知られる『フジシロ』の技術力。ただそれでは仕事の規模は会社の規模を超えません。多くの企業に当社の技術力を知ってもらいたい。まずはご近所の足立区内の方々にこんな職種があって、工場があるということを知ってもらいたいと思っていた時に、「足立ブランド」を知ったのです。

前社⻑はニッチな業種ゆえに、認定を取ることに懐疑的だったそうです。
「今はスリット加工について、当社の技術力について、有識者の方々に嬉々として説明している様子を見て、やっぱり認定してもらえてよかったと思っています」

足立ブランドの認定企業として、「もの作りは楽しい」と感じてもらえるよう、工場見学の受け入れや、子ども向けのワークショップを実施しています。

足立区の子どもたちに加えて、大手旅行会社の JTB が行っている中学生・高校生向けの、身近な仕事を体験するプログラム「ジョブ tabi」に参加。製造業の魅力を若い世代に伝える取り組みも続けています。

<早い時期からスリット加工の存在を知ってもらう>
<フィルムを巻く紙管廃材で万華鏡作り>

 

2025 年は創業 75 年目を迎えます。そして藤白氏が次なる目標として掲げているのが「100 年企業」の実現です。 同社のホームページには 「思いをかたちにする技術がある」 「No1でなく ONLY1である会社」 と宣言しています。

「当社の技術は、決して派手なものではありません。でも、この技術があるからこそ、お客様は自由な商品開発ができるし、消費者の皆さんは、多様な商品の中から好きなものを選べる。フィルム1枚には多くの人の思いが込められています。そしてそれを形にできるのが、スリット加工。この技術を、誇りを持って次の世代にも繋いでいきたい」

 

<慰安食事会の様子。一致団結して挑戦を続けていきます>

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企業情報
株式会社フジシロ
https://fujisli.com/

会社名:株式会社フジシロ
住 所:東京都足立区西新井4-16-11
電話番号:03-3897-6909
代表者:藤白 広樹
事業内容:
樹脂フィルム、ラミネートフィルムのスリット加工、販売

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取材など掲載情報に関するお問い合わせは、「足立ブランド」の運営事務局でもある産業経済部産業振興課ものづくり振興係でも受け付けております。

産業経済部産業振興課ものづくり振興係
電話番号:03-3880-5869
ファクス:03-3880-5605

足立ブランド公式Webサイト
https://adachi-brand.jp/