半導体関連産業で世界とつながる!足立区竹の塚から技術を発信し続ける「秀和工業株式会社」まだ世間が気づいていない隠れ優良企業の秘密に迫る!!
(本記事は「足立ブランド」としてPR TIMESに掲載したプレスリリースの転載になります)
優れた製品・技術を持つ事業者を広く認定し区内外へPRする「足立ブランド」。認定企業である秀和工業株式会社が、4月末の決算を迎え営業利益予測が前期より約50%増加しました。
スマホはもちろん、自動車、エアコン、冷蔵庫など身の回りにある「便利」なもの全てに半導体が入っています。未来の宇宙開発や人型ロボット、自動運転車などを作るのも半導体。この半導体に欠かせない「ウエハ」と呼ばれる極薄の基盤を加工するための装置を開発しているのが、足立区竹の塚にある『秀和工業株式会社』です。4月末の決算でも、前期に比べ売り上げ予測は約18%増加、営業利益予測は約50%増加と、進化を続けています。竹の塚を誇れる町にするためにも、「100年続く企業を目指す」という社⻑の小口純利氏に話を聞きました。
地域に「誇り」がないなら、自分たちで作る
「足立区竹の塚で生まれ育ち、70 年以上になります。竹の塚は人情味のある、暮らしやすい町です。
『地域に愛着を持っているか?』 というアンケートでは住⺠の7割が『持っている』と答えます。でも『地域に誇りを持っているか? 』という問いでは、それが3割に減少します。
それが寂しく、誇れるものがないなら自分たちで作り、発信していけばいい、と考えるようになりました」

そう話すのは竹の塚で父親が創業したミシン製造の会社を継ぎ、今では半導体基盤の「ウエハ」を加工するための研削(けんさく)装置などを製造、販売する会社である『秀和工業株式会社』の代表取締役社⻑・小口純利氏です。
1万円札の5分の1の厚さの基盤を削り出す装置
『秀和工業』が製造するのは、棒状のシリコンを極めて薄くスライスした後、削り、磨くなどの加工を施してウエハと呼ばれる基盤を作り出すための機械装置そのものです。その装置から作られる「ウエハ」の厚さは19ミクロン(0.019ミリ)。1万円などお札の厚さは100ミクロン(0.1ミリ)ですから、お札の5分の1以下の厚さしかありません。


取引先は国内の名だたる電気・電子機器メーカーに加え、中国、台湾、シンガポール、さらには経済成⻑著しいインドなど海外にも広がっています。装置本体の価格は 1 台 1,500万円から8,000 万円を超え、稼働のためのオプションをつけると1億円程度になるものもあります。

「ウエハ」がなければ半導体を製造することはできず、半導体がなければ私たちの暮らしは成り立ちません。スマホやパソコンはもちろん、エアコンやテレビ、冷蔵庫など暮らしの「便利」を支えるあらゆる家電に使われ、自動車には1台につき30〜80個の半導体が使用されているそうです。
「宇宙産業、人型ロボット開発、車の自動運転化など、私たちの未来に向けて、半導体はますます不可欠なものになっています。今や半導体生産そのものが国家戦略レベルで捉えられる位置づけにもなっています。そんな先端技術市場を支える会社が足立区、その中でも竹の塚にあることを発信していこうと、足立ブランドに申請し、2015年に認定を受けました」と小口氏は話します。


戦後、焼け野原となった東京からのスタート
もともと『秀和工業』は、小口氏の父が戦争から復員後、故郷であった東京・深川が焼け野原になっているのを見て、「我々は衣食住全てを失った。自分は衣料に関係するミシンを製造する事業を起こそう」と考えたことからスタートしています。
「父はもともと飛行機の整備関連の仕事をしていて、機械に関するスキルを持っていたようです。住居と工場を探して、竹の塚に『小口機械製作所』というミシン製作の工場を設立したのが1951年です。私はその翌年の1952年に生まれました」


小口氏の子供時代、竹の塚は田んぼや畑が多い場所で、お祭りや子ども会の活動も盛んだったと言います。
「お隣さんからのおかずのおすそわけが当たり前にあったり、駅に行けば必ず見知った顔に会う、そんな町でした。大人も地域の子どもの面倒をよく見てくれていました。私が中学1年生くらいの頃から、公営団地の建設や区画整理が始まり、少しずつ変わっていきました」



ミシン製造から半導体産業関連への事業転換
そんな竹の塚で育った小口氏は社会に出て、まず叔父が経営する電気工事会社で 4 年ほど勤務した後、26歳の頃に『小口機械製作所』に入社しました。
「叔父の会社ではゼネコンが建設するビルの電気工事で現場監督をやっていましたが、自分には合っていないと思い、その会社を辞める理由として父の会社への入社を思いついたのが本当のところです」
ミシン製造の事業は、戦後の復興景気に湧いていた時代は好調でしたが、大量生産大量消費の時代に入るとミシンは次第に使われなくなっていき、小口氏が入社した頃はミシン製造そのものが斜陽産業に向かっていた時代でした。
一方その頃、世間で注目を集め始めていたのが半導体産業。小口氏は半導体関連へ事業転換を考えるようになり、まず会社を法人化し、1984年に『秀和工業株式会社』を設立しました。


「その頃の愛読書はロックシンガーの矢沢永吉さんの『成りあがり』です。矢沢さんがビッグになっていく姿を自分と重ね合わせ、目標にしていました。会社の法人化を進めていた時期、ちょうど結婚もしたのですが、新居や新婚旅行のための資金を全て会社設立のために使ってしまいました。妻は今でも『新婚旅行にはいつ連れて行ってくれるの?』と冗談混じりに言ったりします」と笑いながら振り返ります。
晴海の展示会への出展。韓国からの発注も
ミシン製造からの半導体関連産業への転換の間には、様々な挑戦と実績の積み重ねがありました。
「まずはミシンから発展した製靴用機械の製造とその自動化があります。その後、弟のアルバイト先企業との繋がりがきっかけとなり、ドイツの会社から光学ガラス切断加工の仕事を受注するようになります。その切断加工のための専用の機械を造ることから始めました」
その後、事業開発の中心を半導体やセラミックスに移し、新規に開発したファインセラミックス研磨機を1986年、東京・晴海で開催された見本市に出展しました。それが大きな反響を呼び、日本の大手企業の仕事を請け負うようになっていきました。



「その頃はまだ父が社⻑を務めていて、『石橋を叩いて渡る』タイプの父に実績を見せながら理解してもらい、新規の事業や契約をこなすような感じでした。英語も満足にできないのに韓国の会社から発注があり、初めて海外への装置輸出を経験したり、いろいろなことがありました。私が社⻑を継ぎ、2代目に就任したのは1999年です」
2000 年代には IT 革命があり、⻘色 LED ブームもあって業績は伸び、2012 年には売り上げ10億円を達成しました。
デザインにこだわる理由
『秀和工業』では2005年から製作する装置にデザイン戦略を取り入れています。外装部分にもこだわり、設計には外部のデザイナーを入れて、よりデザイン性が高い装置にしています。

「デザインにこだわるのは『人を大事にする』ということに繋がるからです。機械なので『性能さえよければそれでいい』という考え方もあると思います。でも、機械を扱うのは人なのです。当社の装置を導入してくれた工場に社員が出勤し、クリーンルームを通って装置を前にするたび、やる気が出るようなデザインになっているかどうか、それが大切だと考えています」

『秀和工業』の装置だということを示す企業ロゴひとつにしても、大きく目立つところに入れても「その装置を使う人にとってはノイズでしかない」と、必要最小限のデザインでシンプルに入れています。

ほかにも『秀和工業』の企業姿勢を示すことに毎朝、全社員で行う30分の社内清掃があります。「暮れの大掃除はしない。なぜなら毎日が大掃除だから」をキャッチフレーズにしているそうです。「環境が整備されていない会社は絶対発展しない」という思いから、この清掃を実施しています。

「絶対になくなってはならない会社」を目指す
これから小口氏が目指すのは100年続く企業作りです。
「少数精鋭で、特定の分野では大手に引けを取らない製品を開発し、顧客や地域、社会から『絶対になくなってはならない会社』と思ってもらえる会社を目指します。私が父から学んだのは『世の中の不便をなくす会社』になることでした。他社の真似はせず、ほかにはないものを作っていくという精神が新しい技術を生み出す原動力になります」
さらにその先に、ものづくり大国としての日本の復権、製造業の復活の一助となる会社を目指しています。そんな会社が足立区竹の塚にあることを「誇り」に思ってもらえるよう、新たな道を開拓していきます。

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企業情報
秀和工業株式会社
https://www.shuwaind.com/
会社名:秀和工業株式会社
住 所:東京都足立区竹の塚2丁目32番16号
電話番号:03-3883-6022
代表者:小口 純利
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